平成30年度諮問に対する答申

 税理士界会報で日税連会長の諮問機関である税制審議会の答申が出ました。税理士会として関係省庁に対する建議書に反映されるものとなり、今後の税理士会としての意見や方向性を示すものとなります。
 今回は相続税についてとなりました。一部抜粋していこうと思います。
『高額な相続財産に対しては、なお一層の課税強化を行う余地があるとしても、中間層以下の財産取得者に対し、さらに課税を拡大し強化することは適当ではない』
→今後の相続税の課税強化は行われるかもしれないが、富裕層に限定されそう?
『相続税の機能と目的については、富の再分配と所得課税の補完のほかに、近年では、高齢化の進行に伴って急増している社会保障費の調達という視点が付加されたと考えられる。』
→相続税課税の目的自体が変わってきている
『相続人の高齢化により、相続時点では相続人自身の資産形成が進んでいること、また、社会保障制度の整備が高齢者の資産の維持に寄与していることからみると、相続財産が相続人の生活基盤になるといる意味合いは相対的に薄れつつある』
→高齢者に対する優遇税制、手厚い社会保障により、資産が増加しているので増税で調整する必要がある?
住宅取得資金の贈与税非課税、教育資金・結婚子育て資金の贈与税非課税『特例措置を利用できる者の多くが資産家であるという実態からみると、その適用によって贈与税が空洞化し、相続税の補完税としての機能が弱められるとともに、資産格差の固定化につながる恐れがある。したがって・・・適用期限の到来を見据えて廃止又は縮小すべきである。若年層への早期の資産移転を図るためには、贈与税の基礎控除額を引き上げるとともに税率構造を緩和することが適当である。』
→上記特例措置はそのうちなくなるとともに、贈与税は使い勝手がよくなるかも?
相続時精算課税について『普及を促進するためには、特別控除額(現行2,500万円)の拡充のほか、贈与財産の価額が下落した場合に贈与時の価額で相続税が課税されるというリスクを軽減するなどの仕組みを検討する必要がある。』
→資産価値下落リスクは排除されるかも?
『わが国の財政事情を考慮すれば、税収の規模等にかかわらず、相続税制を廃止するということは実際問題として困難である。富の再分配を図るとともに社会保障財源を調達するという観点からは、諸外国の情勢に関わらず、わが国においては相続税制を存置する必要がある。』
→相続税制は今後も続く可能性が高い
『若年層への早期の資産移転の必要性が高まっていることを勘案すると、被相続人から孫への遺贈については2割加算を適用しないという方策を検討する余地がある。』
→若年層への早期の資産移転は今後も一つの課題となりそうです
『特別寄与料は、被相続人からの遺贈により取得したものとみなして、相続税の課税に取り込むことが適当である』
→当然そうなりますね
『民法と税法との整合性を重視するとすれば、これらの税制における年齢基準を18歳に引き下げることが適当である。ただし・・・一律に18歳・・・個別に検討する必要がある。』
→納税者にとって有利な規定については18歳となりそうです

 簡単に気になったところをピックアップしてみましたけどいかがでしょうか?答申を読むことで、税理士会として相続税をどう考えているのか、また今後の相続税性のあり方はどのようにしていけばいいのかといったことが理解できるようになります。

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