運転資金と流動比率の関係

佐倉市で税理士事務所を開業している若手税理士の中村裕史です。

当ブログにお越しいただきありがとうございます。

本日は経営分析に重要な運転資金と流動比率について解説させていただきます。

運転資金

運転資金とはその名の通り企業が活動していく際に必要となる資金のことを言います。ですが、運転資金として新たに資金調達が必要なわけでなく、本来得られるべき現預金が他の資産(売掛金・受取手形等)として留保されていることをいいます。

上図は事業を始めて商品を販売するまでの一連の流れを貸借対照表(B/S)で表したものです。

①出資する
②商品を購入する
③商品を販売する
④借入をする

①~④までの結果、棚卸資産+売掛金△買掛金=300となり、利益である300は現預金として蓄積されず他の資産として留保されることとなります。つまり運転資金が急激に増加した場合、キャッシュフローに気を付けて経営していく必要があるのです。
売掛金、買掛金の入金、支払サイトは通常1~2か月程度ですので解消されると現預金が増加します。そして新たに仕入、販売した棚卸資産により運転資金が必要となるため、正常な営業循環ですとこの運転資金は半永久的に解消されないこととなります。
逆に言うと運転資金が発生→解消を繰り返すということは運転資金の額は今後利益としてキャッシュとなることを表しているとも言えます。運転資金の額が借入金返済額等よりも大きい場合は、キャッシュフローは安定していることとなります。

また売上が増加するほど売掛金と買掛金の差額が運転資金となるので、運転資金の額は増加することとなります。さらに棚卸資産は原則仕入れてから販売という過程のため、入金より支払が先に来ます。そのため、キャッシュフローには細心の注意が必要となります。これを知らず経営を行っていると黒字倒産(利益が出ているのに倒産)という事態になります。(毎年30,000社以上が黒字倒産しているようです。)

運転資金を改善するには

多額の運転資金が必要ですとその分はお金が残りません。そのため改善するにはどうすればよいのか・・・

①棚卸資産回転率を上げる
②買掛金等の支払サイトを遅くする
③売掛金等の入金サイトを早める

以上の3つが挙げられるかと思います。まず確認するのは①の棚卸資産回転率を上げることです。ただしここでいう棚卸資産の回転率は不良在庫の処分によるものとなります。不良在庫等は早めに処分することで価値の目減りを防ぐこともできます。多少値引きしても販売してしまいましょう。(大量の不良商品がある場合それを見切り処分することで既存の商品が売れなくなることも予想されますので、それほどの大量の不良在庫がある場合は仕入を改善するべきですが💦)
②、③については既存の仕入先、得意先にはしないようにしましょう。特に仕入先に支払サイトを伸ばす交渉は相手に悪印象を与えますのでご法度です!!するのなら新しい仕入先、得意先に限定します。

上記3点により運転資金を改善しても効果は限定的ですので、自社にとって最適な金額にすることを目的にしましょう。(運転資金は値入率が高い企業ほど多く必要となりますので業種によって必要な運転資金は異なります。)

流動比率

流動比率とは流動資産/流動負債で求めることが可能です。流動資産、流動負債は簡単に言うと現預金と1年以内に現預金の入金又は出金が想定されるものです。(正確には正常営業循環内にあるものであれば1年以上も入ります)

先ほどの例で言いますと・・・

②(現金500+棚卸資産500)/買掛金500=200%
③(現金500+棚卸資産200+売掛金600)/買掛金500=260%
④(現金1500+棚卸資産200+売掛金500)/(買掛金500+短期借入金200)=314%

③を見てみると算式は運転資金に現金が追加された形となっています。つまり基本的には流動比率は100%を超えることになります。(借入金で固定資産を購入した場合は100%下回ることもあります。)運転資金=将来のキャッシュフローと考えれば将来のキャッシュフローで借入金返済や未払金等をまかなえればキャッシュフローは増加していきます。ただし運転資金のサイクルは売掛金等、買掛金等の入金、支払サイクルとなるので、サイト期間の運転資金と返済額で行ってください。

 ここで注意してほしいのは現金もサイト期間で案分するとより正確になります。(本来の意味で言えばサイト期間/営業期間ですがそこまで正確にやる必要はないです。)(例:サイト2か月なら2,400×2/12=400)理想としては運転資金の額で借入金返済と未払金返済をまかない、現金は仕入代金の1~2か月分くらいとなります。(1~2か月分の現預金があれば、入金が滞っても融資等によりキャッシュを調達することが可能のため)したがって上記図のサイト期間が2か月だとすると理想の流動比率は・・・

(買掛金500+借入金返済150+未払金返済150+サイト期間の仕入価額500)/(買掛金500+借入金返済150+未払金返済150)=162.5%
(買掛金500+借入金返済150+未払金返済150+サイト期間の仕入価額250)/(買掛金500+借入金返済150+未払金返済150)=131.3%

となり131.3%~162.5%位が流動比率の理想値となります。(もちろんすべての要素はサイト期間で統一しているため、決算書の流動比率は上記よりも下がります)

なお借入金返済、未払金返済を1年ベースに置き換えると110.9%~121.7%となります☺

流動比率の理想値は会社によって異なりますので、一概には言えませんが120%~130%ほどあると安定しているといえそうですね♬(現預金が増加傾向にあることを示している)

 

 

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